(法第10条第1項第5号関係)
設立趣旨書
1 趣旨
保健医療福祉介護分野の現状を見ると、限られた資源の有効活用、あらゆる面での専門性、高度化追求に対応する環境構築が進み、機能分化が促進されてきた。入口が明確でその組織にたどり着けば一流のサービスを受けることができる。しかし、その入口にたどり着くまでの仕組みは甚だ複雑でわかりにくく、いわゆる素人には理解しがたいものである。ともすれば窓口のたらいまわし、責任分界の狭間でのリスク等が発生している。一個人として俯瞰したとき、いったいどこに行けばいいのか…判断に苦慮する場面がしばしばである。機能分化は進めながらも、ここにひとつの運用ポリシーともいうべき運用の整合性・統合を図り、広く親切にサポートする機能が求められている。
「天かける」では、旧概念の職域を超えて、地域を知り尽くしたベテランのメンバーのDirector機能を構築することを一つの目的としたい。主たる分野は保健医療福祉介護分野であるが、その分野とて、取り巻く他分野の協力なくしては成立しえず、法人を設立することにより既成概念の枠を取り払い自由な発想を拒まない取組こそが将来の発展につながるものと考える。
直近の取組課題としては、高齢化社会にあって、医療従事者、特に地域医療を担う医師の不足は顕著となっている。この困難な現状を打破するためには、若い医師を育てるととともに、今活躍している医師が貴重な経験を生かしながら生涯現役を貫くことも一つの解決策となりうる。
生涯現役として必要な要素は、創造力・強い意志・情熱・勇気といわれている。医療従事者の多くは心の在り方としてこの要素を生涯備えている。現状に満足しない向上心・探究心、教育者としての資質、いずれも日本の医療を支えてきた大きな原動力である。しかしながらその実力を発揮する環境支援は定年を迎えることで甚だ縮小される。特に研究・教育へのかかわりが顕著に制約されることはモチベーションの低下となりうる。引退という名のもとに社会貢献から安易に流される要因といえよう。
「天かける」の役割は、心ある人々が、理想への追求を怠らず、生涯、社会貢献に対して現役でありたいとき、その道を開き、支えることにある。現状、特に予防医療・地域ケアの分野において活躍すべき人と場が切望されている。医療従事者はその生涯において、幅広い経験・豊かな感性を鍛えている。あらゆる分野に貢献できる宝である。決して年齢とともに衰えるものではない。その豊かな経験と発想を地域のDirecter機能に生かせるものと考える。
長期的発展としては、地域の活性化・発展に貢献することが重要であると考える。ICTの技術が広く普及した昨今では、地方にあることは決してハンデではない。豊かな発想と具現化する努力の結集、そして適切な広報を行えば、一地方から世界を巻き込む事業を創生することができる。 医療分野一つをとっても、日本がもっとPRすべきは、その緻密な医療を行うことによる膨大なノウハウであろう、この知財を活用して、世界中にPRすれば、海外の顧客はきっと日本に来たくなるに違いない。日本人ですら必ずしも近隣でなく遠くともより良い医療を受けにやってくることが容易に予想される。魅力ある街づくりはその知財の価値を地域住民がまず知ることから始まる。大切なのは、現場で汗する人々の肌で感じる発想を拒まない・真摯に受け止めることのできる環境づくりである。
天かける」では、天に垣根のないがごとく、天を駆け、地域の架け橋として、世代の架け橋として、国の架け橋として、機動力と俊敏性、質の高さを追求し、広く国民・社会に貢献することを設立趣旨とするものである。